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これからのお墓のあり方を考える

2022.12.11

京都東福寺龍眠庵のお墓のコラム

これからの時代のお墓のあり方について

東福寺龍眠庵墓地指定石材店のオフィス石太郎です。

筆者もそうなのですが、こんなに肥満の人が多いのは人類史上初めてのことと、とあるラジオで言っていました。

日本では、これから人口が減少していくようです。

これも時代の流れではありますが、お墓についても転換期を迎えているように感じます。

そこで、これからの時代のお墓のあり方について考えてみようと思います。

将来のことですので予測が外れてしまうかも知れません。

大らかな気持ちでご覧いただきましたら幸いです。

過去にも転換期はございました

大昔の事は詳しく知りませんが、土葬から火葬が普及した50年前頃が転換期に当たります。

※火葬の普及には地域によって大きなバラツキがあります。

土葬の時代には

地方によってお供養の方法は違うと思いますが、土葬の時代には埋葬をする場所と供養塔を建てる場所が違う地域が多いようでした。

ここでいう供養塔がお墓になります。

衛生面の心配などから、お墓の下に土葬されているケースは少なかったのですが、ある一定の期間を経てから土葬の上に墓石を建てる地域もありました。

この頃までは、お墓は故人様をお供養する場で、お仏壇はご本尊様やご先祖様に日々の感謝を申し上げる場という色合いが強かったようです。

当時のお仏壇は、家を守ってくれるという存在だったのでしょう。

火葬されることで

火葬の普及と同時に、お墓にご遺骨を埋葬することが一般的になりましたので、墓石には納骨室が付くようになりました。

この頃は同時に核家族化が進んだ時期でもあります。

核家族化が進むことで、菩提寺との縁が途切れてしまった方が増えていきました。

法話を聞くなどお寺と接する機会もなくなり、お仏壇のご本尊様をモニュメントのように思う人が増えてきたのではないかと思います。

お仏壇は、お位牌の供養をする場へと変わり、お墓と混同される時代を迎えました。

少子化の時代を迎えて

30年くらい前から徐々に少子高齢化という言葉を聞くようになりました。

その頃のお墓は、子孫が代々使用することが前提になっていて、多くは長男が本家を継いでお墓を守るとう風潮でした。

後継者のおられない場合は、合祀墓や納骨堂などへの埋葬を考える人が多かったようです。

20年くらい前より、少子化を身近に感じる人が増えてきました。

永代供養墓という新たなお墓の選択肢が世間に認知されたのは、ちょうどこの頃です。

永代供養墓が登場した頃は、「子孫に代わって寺が貴方(貴女)の供養をさせていただくお墓です」という宣伝が多く、個人墓や夫婦墓が主流でした。

永代供養墓というお墓を通じて、寺院が檀家以外の人のお供養を公に受け付けるようになりました。

後継者のいる人には公園墓地や霊園が人気でしたが、後継者のいない人には、あらためてお寺の役割を示す機会が与えられたといえます。

最近のお墓事情

少子化が叫ばれる中で、子供世代への負担を我が事として心配する人が増えてきました。

そのため、両親や祖父母が郷里に建てた墓石の墓じまいを考える家庭が増えてきました。

同時に「お墓はいらない」と考える人も増えました。

この頃は、散骨を取り上げる報道が増えましたが、現在散骨を希望する人はまだまだ少数派だと思います。

墓じまいが不要という永代供養墓の特徴を理解した方々は、ご先祖様の改葬先としいて永代供養墓を選ぶケースが増えてきました。

永代供養墓を選ぶ人の多くは、先々でご自身のお墓としても使用される予定です。

また一方では、低価格で求めることのできる樹木葬墓地の人気が高まりました。

都市部での樹木葬墓地の多くは、あらかじめ使用期限を定めている有期限のお墓です。

期間満了後には、墓地管理者によって墓じまいが行われますので、子供への負担を心配する沢山の方々から支持されています。

都市部では、樹木葬墓地の好評に続き、様々な類似の小型墓所が生まれました。

これからのお墓は

筆者は、以前に大学生の方々より貴重な意見を聞く機会をいただきました。

次の世代を担う方々です。

「お墓参り=手間」と考える学生さんが多く、「永代供養=助かる」というのが本音のようでした。

「永代供養墓は、お墓参りや供養から解放される」と誤解されている人も多くいらっしゃいました。

「では、数年後に貴方にお子さんが出来たとして、幼くして亡くなってしまっても考えは変わりませんか?」と尋ねてみました。

「出来るだけのことは、してあげたい」という返答でした。

今後ますます寿命が延びそうな時代には、超高齢でお亡くなりになった際の家族の受け止め方は、お墓とも大きく影響しそうです。

あくまで予想なのですが、新たにお墓を造って埋葬を希望する人は激減するのではないかと思います。

お墓に入りたいと希望する人は、子孫への負担軽減を最大限に考慮しながら、自身で気に入った場所にお墓を確保しておく必要があるのではないかと思います。

まるで、生前墓をすすめるセールストークのようになりましたが、「お墓は自分で建てるのが当たり前」「いっそうの寺院の協力が不可欠」というのが、これからのお墓のあり方としての筆者の予想です。

あとがき

お墓はお寺のイメージと近いことから、昔から変わっていないという印象をお持ちの方が多いのではないかと思います。

「時代と共に」と表現するより速いスピードで、お墓を取り巻く状況は変化しています。

本項では、将来のお墓事情の予想にも思い切って触れてみました。

これからのお墓のあり方を考える際には、子供世代の価値観を考える必要があります。

「子は親の背中を見て育つ」といいますが、子供世代の価値観に影響を与えるのは親世代の我々です。

これからも、「まだ何かできることはないか」を、考え続ける自分でありたいと思っています。

  • 有限会社 オフィス石太郎オフィス石太郎
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