東福寺龍眠庵墓地指定石材店のオフィス石太郎です。
弊社のホームページをご覧いただいたお客様より墓石施工のご依頼をいただきました。
洋型墓石を検討されていたそうですが、霊源院墓地の永代供養墓(洋型安養墓)の施工写真をご覧になられて「こんな感じのお墓を探していました」とのことでした。
デザイン墓石の中には、故人様の趣味を造形に取り入れたものなど個性的な形のお墓もあります。
筆者は、あまり奇抜な形のお墓は、いつか飽きが来るのではないかと心配になりますので、大胆な造形のお墓は極力おすすめしておりません。
お墓参りされる方が、楽な姿勢でお参りできるなどの、機能を優先したデザインが好きです。
洋型安養墓を気に入っていただきましたので、基本の形は崩さずにデザインを始めました。
今回ご依頼をいただきましたお客様の墓地は、安養墓が建つ墓地面積よりも間口奥行きともに30cm程度広くなります。
墓地面積に合わせて出カロート(下部にある納骨室兼用の台)を大きくしてみたり、その他の部材のサイズを変更したりしてみましたが、とてもアンバランスな感じがいたしました。
洋型安養墓をデザインする際も、何度もやり直してから落ち着いた形になりましたので、自分の中では完成した形状になっていました。
最終的には、墓石を据えた周囲に厚めの貼石を巻石風に配置することにしました。
このような手法は、少し前から流行りそうな気配がある「ゆとり墓地」に採用されています。
一般的なお墓では、周囲に巻石(境界石)を施工します。
境界石は隣家とあまり隙間なく施工しますので、隣と隙間なく競り合うように建つ印象がありました。
ゆとり墓地では、隣家との間に低い石を余白のような感じで施工しますので、墓石同士が離れて建っているような印象を演出しています。
この度の工事では、気に入っていただいた洋型安養墓のデザインをそのまま活かして、周囲にゆとりを持たせたような印象のお墓にデザインをさせていただきました。
周囲に貼った石も、シンプルな形状にいたしました。
角をRにしたり彫刻を入れてみるなど、腕の見せ所とばかりに、ついつい細工をしたくなりがちになります。
Rにすると滑りやすくなりますし、彫刻した場所は汚れが溜まりやすくなります。
拘りたくなる気持ちを押さえて、あえてシンプルな形状にいたしました。
貼石の暑さ分だけ、根石の寸法を高くした以外は、安養墓の基本デザインのままです。
隣の墓石は周囲よりも大きめでしたが、黒っぽい色に助けられて中々存在感のあるお墓になりました。
今回施工をさせていただきましたお墓のコンセプトは、「立ったままで自然にお参りできる高さのお墓」「遠方にお住いの方も雑草などを気にしなくてもよいお墓」です。
高齢化社会を迎えて、膝に不安を抱える方が増えてまいりました。
また、核家族化が当たり前になりましたので、家族が遠方に住まわれている方が増えています。
このような環境の方が多い中で、除草の心配なく、ご高齢の方も楽にお参りをしていただけるお墓として、機能を優先したデザインにいたしました。
また、洋型墓石では背が低くなってしまい見劣りする傾向がありますが、このような問題も解消しています。
完成後に写真をメールさせえていただきましたが、お客様には大変喜んでいただきました。
弊社に墓石工事のご依頼をいただきまして誠にありがとうございました。