東福寺龍眠庵墓地指定石材店のオフィス石太郎です。
少子化になりますと、一人っ子同士の結婚が増えます。
散歩をしていますと、苗字の違う2枚の表札が掛かっている二世帯住宅を見ることがあります。
ハウスメーカー各社は、互いの世帯のプライベートに配慮したり、介護をも視野に入れたりしながら、新たな二世帯住宅の開発に取り組んでいます。
これらの世代の方々の高齢化が進んでまいりますと、最近では二世帯墓を希望する方も徐々に増えてまいりました。
今回は、二世帯墓をテーマにしましたので建墓の参考にしてください。
一般的な墓石は、主に墓石本体の他に納骨室(カロート)と外柵(巻石)で構成されています。
また、墓石本体は、棹石(一番上の文字を掘る石)・台(上台・下台・芝台など)で構成されていて、標準的なものには花立や香立が付属しています。
霊園や寺院などで目にする墓石の多くには「〇〇家之墓」と彫刻されていると思いますが、これらは合祀墓(家族合祀墓)といって、火葬になってから普及した墓石のスタイルです。
ちなみに土葬の時代は、地域によって多少異なりますが個人墓が主流でした。
石材店などで販売している墓石のほとんどが、複数名を埋葬できるようになっていますので、そのまま二世帯墓として使用していただけます。
お客様によっては「納骨室だけは別々にしたい」などの要望があるかも知れません。
1基の墓石で、無理なく納骨室を2ケ所作る場合は台回りの寸法変更を変更する必要があります。
石材店には、横広になっても違和感の少ないデザイン墓石の設計を依頼すると良いと思います。
二世帯墓の相談をいただく際に、なかなか結論まで至らないのは家名の彫刻場所です。
和型墓石の場合は、棹石に「〇〇家之墓」と一般的に彫刻しますが、この場所に両家の家名を並列して彫刻しますと、とても違和感があります。
宗派によっては「南無阿弥陀佛」などの彫刻をする場合もあるため、両家の宗派を尋ねるなどしながら妥協点を考えていきます。
宗派で解決できない場合は、「〇〇家之墓」の場所に「やすらかに」「ありがとう」「4文字熟語などの言葉」などの中からご希望をお聞きします。
この場合は、左右の花立にそれぞれのご家名を彫刻いたします。
家紋の彫刻を希望される場合も、花立に彫刻する家名の上に家紋を彫刻することもできます。
デザイン墓石は、そもそも近隣に建つ墓石とは形が違いますので、文字に関しても定番にこだわる必要がありません。
例えば「和」「絆」などの下に、家名を並べて彫刻しても違和感を感じる人は少ないのではないかと思います。
写真のお墓は弊社の二世帯墓石の施工例です。
デザイン的に合わなかったので家紋の彫刻はありませんでした。
また、二世帯墓のコンセプトに沿うように、墓地の面積一杯に納骨室を造ることが可能な丘カロート(出カロート)にしました。
丘カロートは、雪国などに多いお墓で、墓石が雪に埋もれにくいような構造になっています。
丘カロートでは、御影石で囲った納骨室を地上に造り、その上に墓石本体を建てますので納骨室の分だけ背が高くなります。
高さの目安は、お墓な線香をお供えしやすいように設定するのが基本です。
話がそれてしまいましたが、二世帯墓を検討しているお客様は、自由度が高く違和感を感じにくいデザイン墓石をおすすめいたします。
今でも時々、苗字の違う人はお墓に入ってはいけないという人や、そのような規程を設けている霊園もあります。
石材店や霊園にとっては都合の良い話にも聞こえますが、真剣にそう信じている人もおられます。
不特定多数の方々を一緒に埋葬する合祀墓を希望する人が増えてきたこともあって、最近では、「一緒に入ってはいけない」が問題になることは殆んどなくなりました。
①お墓を2ケ所確保する必要がありませんのでコストを抑えることができます。
②お墓を2ケ所維持する必要がありませんので管理が楽で維持費を抑えることができます。
二世帯墓を検討する人の殆んどは、嫁いだお嬢さんしか子供がおられないご家庭だと思います。
お嬢さん世代やお孫さん世代への負担の軽減を考えた場合は、永代供養墓のような永代管理を採用しているお墓をおすすめいたします。
永代管理のお墓は、先々の維持管理費(管理料)は不要ですので、経済的な負担を軽減できます。
また、先々にはお寺でも両親のお供養をやっていただける永代供養のお墓を選んでいただきますと、お嬢さんも少しは気が楽になるのではないかと思います。
二世帯墓と永代供養墓の両方の希望を満たすのは、なかなか難しかもしれません。
しかし、これらを知識として覚えておいていただくと、お墓を検討する際には役に立つのではないかと思います。